高等専修学校とは

高等専修学校では、実際のプロの現場を再現した施設や設備を利用しながら、実践的な学びを深めることができます。

こんな生徒におすすめ

・早いうちから専門知識や技術を身に着けたい
・実社会でもすぐに役立つような勉強がしたい
・大学・専門学校進学も考えたいのでその準備をしたい

高等専修学校とは、特定の専門分野を集中的に学ぶことができる教育機関です。この学校の目的は、職業に直結する技術や知識をはじめ、実生活で役立つ幅広いスキルや教養を身につけることにあります。一般的に、専修学校にはさまざまな専門学校が含まれますが、その中でも特に中学校卒業後に進学できる課程を「高等専修学校（専修学校高等課程）」と呼んでいます。

高等専修学校の最大の特徴は、授業の6割から7割が専門分野の学びに充てられる点です。興味のある分野について深く学ぶことができるため、実践的なスキルを身につけたい人に向いています。学校の課程は1年制、2年制、3年制があり、法律に基づいた正規の教育機関として認められています。また、一定の要件を満たしていれば、大学や短期大学に進学することも可能です。

特に、3年制以上の高等専修学校で、文部科学大臣が認定する大学入学資格付与指定校では、卒業生が高校卒業者と同等以上の学力を持つと認められ、大学への進学資格が付与されます。これらの学校では、専門分野の学びに加えて、普通科目の授業も週4コマ以上行われるため、専門知識を深めながら大学受験に備えることができます。そのため、高等専修学校を卒業した後には、就職だけでなく、4年制大学や短期大学、専門学校などへの進学の道も開かれています。

また、一部の高等専修学校は通信制高校と連携し、技能連携校としての役割を果たしています。この仕組みを利用すれば、高等専修学校の卒業資格と高校卒業資格の両方を取得することができます。これにより、生徒は幅広い選択肢を持ちながら、自分の将来に合った学びを選ぶことが可能になります。

高等専修学校の学びの特徴は主に2つあります。1つ目は、仕事に直結するスキルや資格を取得できる点です。実践的な学びを通じて、即戦力として社会に出る準備ができます。2つ目は、社会で自立するためのスキルや教養を身につけられる点です。コミュニケーション能力や基本的なマナー、生活に役立つ知識など、社会で求められる素養を高めることができます。

このように、高等専修学校は、専門分野を深く学びたい人、実践的なスキルを身につけたい人、さらには大学進学を目指す人にとって、多様な選択肢を提供する教育機関です。個々の目標に応じて、さまざまなキャリアパスを開くことができるのが、高等専修学校の大きな魅力です。

高等専修学校の法律上の位置づけと特徴

高等専修学校は、学校教育法第124条に基づいて設置される教育機関です。この点で、高等学校（第1条校）や通信制高校とは法律上の位置づけが異なります。高等学校が国の学習指導要領に沿った教育を行うのに対し、高等専修学校は職業教育や専門教育に重点を置いているのが特徴です。

高等専修学校の最大の魅力は、柔軟なカリキュラム編成が可能であることです。全日制の学校であり、基本的に毎日の通学が必要ですが、個々の生徒の状況に応じて柔軟な教育対応を行っています。そのため、不登校経験者や発達障害など特別な支援が必要な生徒も多く在籍しており、彼らの学びを支える環境が整っています。

このように、高等専修学校は実践的なスキルを身につけたい人や、自分の興味を追求したい人にとって、魅力的な選択肢となっています。

全授業の3分の2が専門分野に関する学び

高等専修学校の授業は、その約3分の2が専門分野の学びに充てられており、職業や仕事に直結する実践的な知識と技術を身に付けることができます。普通科目よりも専門分野の学習に力を入れたい生徒や、早い段階から将来の仕事に役立つスキルを習得したい生徒にとって、基礎から実践までしっかり学べる環境が整っています。

高等専修学校で提供される学びの分野は8つに大別され、以下のような内容が含まれます。

1. 工業分野：CGや自動車整備などの技術習得
2. 農業分野：農作業や環境保全に関する知識
3. 医療分野：医療現場での基礎知識と実習
4. 衛生分野：調理師、製菓、製パンといった食品衛生に関する技術
5. 教育・福祉分野：保育や介護など、人を支える職業の知識
6. 商業分野：簿記やビジネス実務などの経営に役立つスキル
7. 服飾分野：ファッションデザインや洋裁などの技術
8. 文化教養分野：芸術や語学など幅広い教養を学ぶ

これらの専門分野の授業は、実際の仕事を意識したカリキュラムとなっており、現場に即したスキルを身に付けることができます。また、多くの高等専修学校は、専門課程の専門学校を併設しているため、プロ仕様の施設を使い、実際の職場で活躍する講師から直接指導を受けることが可能です。そのため、生徒はリアルな職場環境をイメージしながら学びを深め、将来の就職に向けて実践的な準備を進めることができます。

高等専修学校で学べる8分野

工業

「工業」分野では、情報技術やコンピューターの基礎から、ものづくりに関する技術まで幅広く学べます。具体的には、情報処理、IT、グラフィックス、ウェブ制作などのデジタルスキルをはじめ、土木、建築、電機、自動車整備、電子技術、放送技術、無線通信といった実務的な知識も習得できます。この分野は、製造業やIT業界を目指す人にとって魅力的です。

農業

「農業」分野では、自然や生物に関する知識を深め、実践的な技術を学びます。農業、畜産、バイオテクノロジー、園芸、造園、動物管理といった幅広いテーマが学べるため、農業関連の職業やバイオ産業を目指す人に最適です。

医療

医療分野では、健康や医療に関する幅広い専門知識を学ぶことができます。具体的には、看護、歯科技工、歯科衛生、臨床検査、診療放射線、作業療法、理学療法、言語・聴覚療法、鍼灸、あんまマッサージ指圧、柔道整復といった科目が含まれます。医療従事者として活躍するための資格取得を目指す人に向いています。

衛生

「衛生」分野では、人々の健康や美容に関する知識と技術を習得します。調理師、製菓、パン製造、栄養、理容、美容、エステなどの技術が学べ、飲食業界や美容業界を志望する人に人気の分野です。

教育・社会福祉

この分野では、人々を支える教育や福祉の専門知識を学びます。保育、社会福祉、医療福祉、幼児教育、介護福祉、老人福祉、精神保健福祉といったテーマが含まれ、特に保育士や介護士、福祉施設のスタッフを目指す人に向いています。

商業実務

「商業実務」分野は、ビジネスに必要なスキルを学ぶことができる分野です。経理、簿記、会計、経営、医療事務、秘書、旅行、観光、ホテル業務、流通、ビジネス全般、OA（オフィスオートメーション）スキル、福祉ビジネスなど、企業での実務に直結する知識が身につきます。

服飾・家政

「服飾・家政」分野では、ファッションや生活文化に関連するスキルを学びます。具体的には、ファッションデザイン、ファッションビジネス、アパレルマーチャンダイジング、和裁、編み物、スタイリスト、手芸などが含まれ、服飾業界を目指す人に適しています。

文化・教養

「文化・教養」分野では、幅広い教養や芸術に関連する知識を学ぶことができます。デザイン、インテリアデザイン、外国語、演劇、映画、写真、通訳、ガイド、公務員試験対策、社会学、体育、音楽など多彩なテーマが揃っており、幅広い分野での活躍が期待されます。

大学入学資格付与指定校で選択肢も広がる

高等専修学校のうち、文部科学大臣が定める基準を満たし「大学入学資格付与指定校」として認定された学校があります。このような指定校の修了者は、大学入学において高等学校卒業者と同等以上の学力を有すると認められ、大学進学の道が広がります。指定校では、専門分野の学びに重点を置きながらも、大学や専門学校への進学を目指すことが可能です。そのため、専門的な知識と技術を身につけつつ、進学という将来の選択肢を広げることができます。